帰国してもう5日たち、毎日怒涛の仕事生活を送っています。
ここでイギリス最終日、ロンドンでの出来事をお話したいと思います。
最終日は一人でロンドンぶらぶら。
Zone1でも£4 (≒1000円?!)というばかみたいに高くなった地下鉄を避け、歩いて市内観光をすることにしました。
市内観光と言っても、私はお気に入りのテート・ギャラリーへ行ってお昼過ぎまですごし、簡単なランチをすませ、公園でお勉強(「おひるね」と読む)し、夕方はコヴェント・ガーデンをうろつき、夜はミュージカルを観るというコースです。
この簡単なランチを取った教会にあるカフェであるポスターが目に留まりました。
「シエラレオネから来た耳の聞こえない子供達によるコンサート」
今夜ここで、耳が聞こえない子供達が合唱するというのです。
来たい・・・
でも私は£40も払ってミュージカルのチケットを購入してしまっている・・・
なんであの子達は貧しいだけでなく耳が聞こえないのか、なんで私は£40も払ってミュージカルを見ることができるのか、何が違うんだろう、って悩みだしました。
そこで思い切って教会の女性に声をかけました。
「あの、今日のコンサート、来たいのですが来られないんです。」
女性はいぶかしげな顔をしました。
「シエラレオネの子供達の?」
「そう、彼らに幸運がありますように、わずかですがこれを寄付しておいてください。」
私はお財布にあったコインを全部出して彼女に渡しました。
(こういうコンサートは無料ですが、来た人が寄付をする仕組みなのです。)
すると彼女は泣きそうな顔をして、こう言ってくれました。
「どうもありがとう、彼らには必ず伝えます。
あなたの優しさに彼らも心から感謝することでしょう、ありがとう。」
きっと、£40寄付すればいいのに、と思う人もいるかもしれない。
でも今できる小さな行為でさえ、こんなに喜ばれることもあるんだって感動しました。
・・・
翌日ホテルを出た私は、ただでさえ重いのにキャスターが壊れてさらに運びにくくなったすっごく重いスーツケースを引きずってパディントン駅まで歩き始めました。
するとタクシーが近づいてきて「空港行くのか?」と聞いてきました。だから「行くけど、もう電車のチケット買っちゃったから駅に行きたいの、すごく近いんだけど重くてたまらないから乗せていってくれますか?」と聞くと快く車内に荷物を運び入れてくれました。
・・・
普通に歩けば5分もかからない距離、すぐに駅に着きました。
私はまたお財布からコインを大目に出してドライバーに渡そうとしました。
「どうもありがとう、とても助かりました。」
するとそのドライバーは手を左右に振って言いました。
「いいよいいよ、それは大切に手のひらにぎゅっと握っておきな。」
「えっ、ありがとうありがとう、あなたみたいなドライバーに出会えて嬉しいわ!」
「じゃあ気をつけて、良い旅を!」
人への親切な行為って、見返りを求めたりしないものですよね。
でもね、もしかして昨日寄付した行為が、素敵なドライバーに出会うチャンスをくれたのかもしれない・・・そしてあのドライバーは、私を通して教会への寄付に協力したことになるのかもしれない、なんてすばらしいんだろう、って本当に感動しました。
とても良いロンドンの思い出になりました。
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