今日は(実際には昨日)土用の丑の日だというので,遅くに帰宅したにも関わらず,苦手のうなぎを食べる事になりました. うへっ.
そして,友人が間違えて持ってきたけどそのまま借りてみた本を読んでいます.
「
東亰異聞 (小野不由美)」は,魑魅魍魎の跋扈する明治の東亰(東京ではない)が舞台となっていて,私が今までに読んだことのないジャンルであり,文体で,なかなか興味深いです.
でも奇妙な妖怪みたいな,なんていうか,人斬りみたいなのがたくさん出てきて.
不気味なんだけど,ちょっと妖艶な感じで,人の心の闇を垣間見るような怪しい物語と言ったらわかりやすいかな.
まあ,夏ですから...
追伸 : すごく面白いミステリーだったので,結末を知らずに読んでほしいな.
これから読んでみようかな,って思うなら,ここから先は読まないで!
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だってね,妖怪変化のお話であり,そうでなかったの.
とっても意外な結末だったの,なにがって,犯人じゃなくてその理由が.
相続争いって,今ちまたを賑わせているWT兄弟みたいに,自分に相続の権利があるだとか遺産相続はいくらとか遺言がどうの,っていう醜い争いだと思いますよね.
でも,ここでは違ったの.
お互いを思いやるばかりに,狂気に至ってしまった兄弟の相続放棄争いだったの.
ただこう書くだけだとわからないかもしれないけど,背景には相続という制度の問題や,呪詛とか怨念みたいなものがあって狂気に至るわけなんだけど,お互いを傷つけあうことでしか思いを成し遂げられなかった兄弟に,なんだか悲しくなりました.
また,その情景の描き方(ちょうど私たちの東京の文明開化の時代風景)がとても良く,華やかさと寂しさ,闇を感じながら読むことができて大満足.
そして意外な結末は,犯人がわかった後にも続くのです.
これを読んで,闇につつまれた夜がちょっとだけこわくなりました.
私は比較的夜型人間なんだけれど,もしも子どもが生まれたりしたら太陽の昇っている時間に行動するような子どもになってほしいと思ってみました.
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